SAGA15参加レポート

SAGA(Support for African/Asian Great Apes: アフリカ・アジアに生きる大型霊長類を支援する集い)の第15回シンポジウムが、北海道札幌市で2012年11月17日(土)、18日(日)に開催されました。色とりどりに紅葉した景色に見とれ「思ったより寒くないね」と言い合ったのも束の間、雨→みぞれ→雪とみるみるうちにお天気は下り坂・・・。過去100年で最も遅い札幌の初雪が見られた今回、私たちがSAGAに参加した目的は、研究者の先生方や動物園関係者の方々にShape of Enrichmentの紹介やSHAPE-Japanの立ち上げについてご相談をすることでした。

シンポジウム会場は札幌市立大学と円山動物園で、1日目に同大学デザイン学部の先生方による講演とポスター発表がありました。前日のすすきのでのミーティングでは、このポスター発表の時間帯を狙って参加者の方々にフライヤーとアンケート用紙を配り意見を伺うという計画のもと、当日の段取りや最終確認をしつつ北海の味覚もしっかり楽しみました。

当日は発表の事前登録をしていなかったのですが、なんとSAGA事務局のご厚意により、ポスター会場や受付周辺などにポスターを貼らせていただく許可をいただきました。その結果、予想よりもたくさんの方々から、今後の活動の方向性を決めるうえで参考になる意見やアドバイス、激励のお言葉を戴きました。皆様の温かなご支援に感謝するとともに、無事告知することができ一同ホッとしたのでした。

  

シンポジウムでは、札幌市立大学と円山動物園とが共同で進めているプロジェクトに関連し、動物園と市民との繋がりの強化や来園者に対するメッセージの発信など、社会や環境をデザインするという視点からの取り組みが報告されました。いかに来園者を惹きつけリピーターを増やすかという運営に直接関わる内容であり、動物園関係者にとって大変興味深いテーマだったと思われます。

個人的に気になったのは、飼育動物の熱環境に配慮した施設デザインの調査報告でした。飼育環境内にホットスポットとクールスポットをバランスよく配置することで展示動物の活動域を増やすという試みは、動物の光や温・湿度など環境刺激への認知エンリッチメントとも言えます。また従来の空調管理に加え、空間内にまんべんなく暖かさが伝わり電気代も節約できるというパネル・ヒーターによる放熱管理への着目は、寒い地域ならではの視点かなと思いました。

他に、一般的に環境の複雑化は環境エンリッチメントの要素の一つとして認識されていますが、は虫類や両生類についてはむしろシンプルで何もない環境に慣れさせることが繁殖に効果的であったりするようです。個体ではなく種として環境を評価するという点でも哺乳類と視点が異なり、環境エンリッチメントの奥深さを再認識させられました。

今回のSAGA参加を通して、飼育現場と研究者双方に連携の活性化が求められているように感じました。SHAPE-Japanとしてもその助力となれるよう、エンリッチメントやフィールドに関する有益な情報を発信していきたいという強い気持ちをメンバーで確認しつつ、あったかいスープカレーで締めたのでした。

(小山)

先頭に戻る