第24回日本飼育技術学会 参加報告

2014年2月15、16日におこなわれた飼育技術学会に、SHAPE-Japanより小山・山崎・山梨が参加してきました。前日の晩に降った雪のため、会場までの地面は真っ白…。滑りそうになりながら、雪解け水が小川のようになった道路を越えたりしながら、会場にたどり着きました。200名ほどを予定していた参加者数も約半分に減ってしまったそうです。東京がこんな過酷な場所だとは…

今回のテーマは「人工哺育・孵化・育雛~その検証と技術の継承を考える~」でした。

ニホンカモシカ・マヌルネコ・カリフォルニアアシカ・バンドウイルカ・ニシゴリラなどの人工哺育や介添え哺育の実例がメインでした。それぞれの動物種・個体に合わせた工夫をしている様子が発表されました。

初日の特別講演として山階鳥類研究所の出口智広先生がアホウドリの野生復帰についての講演をされました。アホウドリは、現在野生復帰が成功し、さらに飼育下生まれのアホウドリが野生個体とつがいになるまでに進歩しているようです。そこに到達するまでに、それぞれの種が営巣する場所を学習する際の特徴を考慮したり、近縁種での試行や餌の工夫をするなど、復帰成功までの方法を模索する過程がとても興味深く感じられました。

2日目の特別講演は乳成分の中でも糖質の専門家である帯広畜産大学の浦島匡先生が動物の乳についてお話されました。人工哺育の上で飲ませるミルクは乳児の生死にも直結するため、事例発表の中でも成分を種本来のものに近づけようとさまざまな工夫がされていました。先生のお話は、牛乳がなぜ白く見えるのか?という基本的なお話から、動物種ごとに乳糖やミルクオリゴ糖、脂質の割合が異なるせいで消化不良を起こす可能性があるなど、実践につながる話まで含まれており、とても勉強になりました。

動物の人工哺育が成功するためには、どのように人が関わるべきなのか、どのようなケアをするべきなのか。さまざまな動物で実施した担当者や研究機関での専門的な立場からの経験がつながる今回のような会議は、わたしたちSHAPEの目指すものとも共通しているように思えました。

また懇親会では、人工哺育のことに加え、環境エンリッチメントやSHAPEについていろんな方とお話できました。

SHAPEのことをすでに知ってくださっている方が予想以上に多く、とても嬉しくなりました。担当されている動物でのエンリッチメントやトレーニングの話など聞かせていただいたり、SHAPEについての感想や激励のお言葉をいただいたり…楽しい時間はあっという間でした。

 

今回も温かく受け入れてくださり、どうもありがとうございました。コメントを元に、より有益な活動になるように努力していきます。今後ともどうぞよろしくお願いします!

(山梨 裕美・小山 奈穂)

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