- 西チンパンジー(Pan troglodytes verus)
- ボッソウ、ギニア
ギニア共和国のリベリア・コートジボワール国境近くにあるボッソウ村。ここでは1976年から野生チンパンジーの研究がおこなわれてきました。チンパンジーのナッツ割やヤシの樹上でのきねつき行動など、興味深い文化的行動をおこなうことで有名です。
ここでは、13頭のチンパンジーの小さな群が生活しています。生活する範囲は村人と重なっており、人との距離がとても近いです。チンパンジーの遊動域は、主に4つの裏山(バン、ゲイン、ブートン、ウヤトン)です。数時間もあれば、全ての山を登りおりできてしまう程度の大きさです。
小さな山ですが、ここにはチンパンジーが生活するのに必要なものがそろっています。
近くのニンバ山から6 kmほど。ニンバ山には別の群れのチンパンジーもいます。チンパンジーは離合集散社会で、食べ物や発情メスの有無によって、まとまったりばらばらになったりします。調査をしていると、森の中からチンパンジーの気配がなくなることがあります。チンパンジーがまとまっていると、呼びかけあったりやけんかしたり、チンパンジーの声があちこちから聞こえてきますが、ばらばらになってしまうととても静かなのです。そんな時、ボッソウの山から遠出して、隣の村や、ときには国境を越えてリベリアまで行くこともあるようです。
小さな山なので、チンパンジーのほかに大きな動物はあまりいません。霊長類で言えば、夜行性のガラゴやポトがいて、他には、ダイカーやセンザンコウなどの動物や、フクロウなどの鳥類などが生息しています。他のフィールドと比べて、捕食できる動物種があまり豊富でないためか、ボッソウのチンパンジーの肉食頻度は比較的少ないです。ただ、食べるとしたらセンザンコウをよく食べているようです。
小さな村の中で、チンパンジーと人とが共生することは、時に難しいこともあります。ですが、チンパンジーと人の生活が健やかになるように、さまざまな人が協力しあい、尽力しています。
研究活動や生態について、詳しくは、ボッソウ・ニンバのチンパンジーのウェブサイトをご覧ください。
(やまなし)