異常行動

【Abnormal behavior】

飼育下の動物によく見られる行動で、動物種本来の正常な行動パターンから形態や頻度が逸脱しているものを指します。異常行動と報告される行動には、常同行動や自傷行動、糞食や吐き戻し、毛抜きなどさまざまなものが含まれます。このような異常行動は、動物種本来の行動を発現できない飼育環境に由来する欲求不満や葛藤の転位行動としておこると考えられています。また、これらの異常行動は、環境エンリッチメントをおこなうことで減少することや、恐怖を与えるような刺激によって頻度が増加することなどが報告されています。そのため、異常行動の軽減は福祉向上の指標として用いられることが多いです。しかし、「異常」性は観察者の主観にも影響されることがあり、また個体ごとに行動の発現の頻度は大きく異なります。そのため、どの行動が実際に「異常」と言えるのかに関しては議論が続いており、適正な評価が必要です。

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