ICEE2017 in Colombia レポート! ②口頭発表編

Buenos dias!!

ツイッターでも事務局の方からたくさんの実況中継をいたしましたが、5月15日から20日までコロンビア、ボゴタのParque Jaime Duqueで開催されていた、

13th International Conference of Environmental Enrichment のレポートをいたします。

2回目となる今回は口頭発表について、紹介いたします。

口頭発表は全部で22演題あり、2つの会場に分かれて発表が行われました。
(半分発表が聞けなかったのはいささか残念ですが…)
日本からは、なんと7演題!

さて、海外の方からの印象を伺うと、日本の動物園では特に霊長類のエンリッチメントに優れているという印象があるようで、
今回もそれを反映するように、類人猿を含めたサル類関係の発表は、5演題もありました。




≪上から時系列順に、山梨裕美さん/京大・田中正之さん/京都市動・綿貫宏史朗さん/京大・Josué  Alejandro Pastranaさん/京大≫

はたから見ていて海外の方が関心を持たれたように感じた内容としては、子どもや一般の方への環境エンリッチメントの普及に関する取り組みについてです。
日本モンキーセンターの藤森唯さんの発表中に感じたことですが、

日本における、いわゆる夏休み動物教室に類する内容であり、来園者とともに飼育環境を作り上げる活動に関心を持っているように感じました。

その他の2題は、私と北里大学の小倉匡俊さんによる肉食獣に関するエンリッチメントの事例紹介。

わたしは死ぬほど緊張してましたが、会場運営者、トランスレーターの方を始めものすごく親切にしてくださって、本当にありがたい気持ちでいっぱいでした。
日本の動物園の敷地面積はどうしても狭いことがネックになってしましがちですが、少しでも多様性に富んだ飼育環境を作っていきたいと思います。

さて、その他の方の口頭発表について2つ印象に残ったものを紹介。
(画像がありませんでしたが…)
・Creativity and Social Engagement Fuel Unique Big Cat Enrichment Program
/Willow Hacht/Big Cat Rescue
アメリカで違法飼育されている大型ネコ科動物の摘発と保護を行われている団体の発表から。
もともと資金源があまりない状況で運営をされているレスキュー施設での活動は、やはり普及活動と資金調達にかなり積極的に挑まれている印象がありました。
資金がないという状況に関しては、日本国内の動物園も同じような状況におかれていると感じる部分もあり、今後より確実な動物園の動物福祉を配慮した活動を続けていくためにも、いかにして一般来園者や周囲の理解を得ながら資金を獲得し、積極的な活動を続けていくかが課題であるように思いました。

・The Balance between enrichment and training/Margaret Hawkins/Taronga  Conservation Society Australia

日本でも近年積極的に多くの動物で取り入れられているハズバンダリートレーニングとエンリッチメントのバランスについて。
トレーニングは「学習」という面で認知エンリッチメントの一端にはなり得るが、トレーニングがあまりRoutine化してしまうと、その効果は薄れることがある。
そのため、認知エンリッチメントとしての効果を持たせるのであれは、日々異なった内容に取り組む必要がある。
エンリッチメントに関する今後のさらなる方針として、ポジティブな指標の導入や、「動物の幸福」の指標化についても触れられており、それらはRobert Young氏の発表にもありました。

長くなりましたので、口頭発表編はここまでとします。
続く

*なお,この海外発表事業は
(公財)山階鳥類研究所 平成29年度山階武彦助成事業に採択され、
実施されました。

京都市動物園
岡部光太

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