アルマジロ、ガラゴ、ナマケモノの共同生活にエンリッチメントが加わると

  • 対象種:アルマジロ(Dasypus novemcintus)・ガラゴ(Galago senegalensis)・ナマケモノ(Choloepus didactylus
  • 場所:ペイントン動物園、イギリス
  • 手法:採食エンリッチメント・感覚エンリッチメント
  • 目的:種特有の行動を引き出す

環境エンリッチメントの研究は近年多く出版されるようになりました。しかし、動物種に偏りが大きいのが現状で、夜行性動物などではエンリッチメントの報告が少ないです(今回紹介する論文の中ではたった3つしかなかったと言っています。)。今回は夜行性動物の、混合飼育展示でのエンリッチメントについての論文をご紹介します。イギリスのペイントン動物園では、アルマジロとガラゴとナマケモノの混合展示がおこなわれています。混合展示では、種によって性質が異なることや、種間で競合がおこる可能性など、単種の時以上に考えなければならないポイントが多くあります。

Clark氏らは、採食エンリッチメントと感覚エンリッチメントをおこなうことで、3種類の動物の種特有の行動が引き出せるかどうかを検討しました。採食エンリッチメントは、2つのバスケットをつなげた箱の中に細かく切断された紙を入れて食べ物を隠したものや、ミルワームをいれたチューブ製のアリ塚など数種類です。感覚エンリッチメントには、まつぼっくりにアニスの粉で香りをつけたものと、森林の音を導入しました。それぞれのエンリッチメントをおこなった後に、行動を観察してみると、すくなくともどれかのエンリッチメントで、すべての種に種特有の行動の増加や活動場所の増加など、なんらかのよい効果が得られたようです。しかし種ごとに詳細は異なりました。アルマジロではすべてのエンリッチメントで種特有の行動を示す時間が増えましたが、他の種ではエンリッチメントタイプごとに増えたり減ったりしました。たとえば、アリ塚などの採食エンリッチメントの条件では、ガラゴの種特有の行動が増加しましたが、森林の音の条件では減少しました。著者らは、音にびっくりして隠れてしまったのではと言っています。やはり種ごとに効果的なエンリッチメントは異なるようです。ちなみに、種間の交流は特に見られなかったとか。3種のみなさん、それぞれお互いのことをどう思っているのでしょうか…。まだまだ謎の多い夜行性動物の世界のエンリッチメント、今後に期待です。

Clark, F. E., & Melfi, V. A. (2012). Environmental enrichment for a mixed-species nocturnal mammal exhibit. Zoo Biology, 31(4), 397-413.

(やまなし)

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