不断給餌はシマウマの母子関係を良好にする?

  • 対象種:サバンナシマウマ (Equus burchellii)
  • 場所:チェコ、Dvůr Králové動物園
  • 目的: 採食行動と授乳行動の関係から不断給餌の効果を探る

 

 

哺乳類の母親にとって、子育て時の授乳はとてもエネルギーを必要とする繁殖活動です。シカなどの有蹄類では、食物が不足すると授乳行動は減少し、採食行動が増加します。このように養育中のエネルギー配分、つまり採食行動と授乳行動のどちらを優先するかを状況に応じて変化させることが知られています。

シマウマなどの野生のウマは、一日の半分以上を採食に費やしています。しかし、飼育下のように草地が少なく、摂食する機会が限られた環境では、採食時間がどうしても短くなります。そのため、そのような環境では、哺乳中の子を持つ母親は、採食行動と授乳行動のどちらを取るべきかという葛藤がより強くでる傾向があり、結果として子の吸乳行動が妨げられる可能性が懸念されます。

今回ご紹介するサバンナシマウマは、授乳期の母親は他の行動よりも採食行動を優先させるという特性を持ち、その間の採食量はオスや子のいないメスよりも増加することがわかっています。しかし、そのような特性が母子行動にどう影響するかについて述べた研究はあまりないようです。

そこで著者らは、給餌場所が制限された環境で飼育されるサバンナシマウマの子20頭とその母親14頭の行動を1年以上にわたって観察し、子の吸乳行動、母親の採食行動と授乳行動についてデータを分析しました。

その結果、シマウマの母親が採食中の授乳を拒否する割合は、子の成長とともに減少しました。一方、採食していない時に授乳を拒否する割合は常に変わらなかったことから、全体として母親が採食しながら授乳している時の方が、採食していない時に比べて、子の吸乳行動が中断される割合は低いことがわかりました。つまり、授乳中に採食している時には母親は子にあまり意識を向けていませんが、採食していないときに吸乳されると、その際の行動が制限されるため授乳をやめてしまう、と解釈できるようです。

また、採食行動が子によって中断された場合や、放飼場内にエサの設置場所が少なく、母親が採食する機会が限られていた場合は、子が母親に接近しても授乳を拒否されてしまう頻度がより高いことがわかりました。

母親の採食行動が子によって中断される割合は、子が成長するにつれて増加したり、逆に養育経験の多い母親の方が少なかったりと、採食環境以外の要因からも影響を受けます。しかし、常に母親が必要量のエサを食べられるように給餌方法を工夫することは、授乳・吸乳をめぐる母子間の葛藤を減らし、子からの積極的な吸乳アプローチに対する母親のストレスを緩和することにも一役買うようです。

(小山)

Pluháček, J., et al. 2010. Feeding behaviour affects nursing behaviour in captive plains zebra (Equus burchellii). Applied Animal Behaviour Science 128:97–102.

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