The Shape of Enrichment News Letter 2013年第22巻1号

本部The Shape of Enrichmentのニュースレター「The Shape of Enrichment」2013年第22巻1号の内容を簡単にご紹介します。

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社会エンリッチメント:リハビリとしてのラッコの群れ飼育 P.1-3

アメリカ合衆国のモントレーベイ水族館は、カリフォルニアラッコの生息地でもあるカリフォルニア州沿岸に面しています。そのため、群れからはぐれたラッコを保護することがあり、同園ではこの保護個体を、野生へ戻す取り組みがおこなわれています。非公開エリアでは、5頭のメスを飼育していましたが、社会的な刺激が不足している状況でした。そこで、保護個体と従来同園で飼育している個体を定期的に同じプールに同居させたところ、それまでは固定した単一の群れのみだったものが、さまざまな個体の組み合わせで群れをつくる様子が観察されました。中には、高齢メスの飼育個体が、保護された野生のコドモのラッコの代理母として振る舞う様子も見られたそうです。さまざまな年齢層からなる群れでの飼育は、リハビリ個体の子育てや餌に対する興味を引き出し、野生復帰のためのトレーニングとして役立つようです。

アルマジロに対する物理エンリッチメント P.4

アルゼンチンのテマイケン自然公園では、アルマジロの屋内放飼場をより本来の生息環境に近づけるような工夫をおこなっています。例えば、床の素材をコンクリートから土や砂に変え、植物を植えたり、プールやスプリンクラーで水辺の環境を再現しました。その結果、アルマジロは地面を掘ったり、高温や乾燥などから身を守るような行動が見られるようになりました。アルマジロという種についてはまだ不明な部分が多く、このように飼育下でおこなわれるさまざまな工夫に対する彼らの反応を調べることもまた、その生態の解明に重要だといえます。

キリンとオカピにとってあるべき舌の使い方 P.5

ヨーロッパ動物園水族館協会(EAZA)は、キリンの飼育管理に関するガイドラインを制定しています。スイスのバーゼル動物園では、このガイドラインに即し、キリンとオカピの舌遊び行動*を防ぐために、木の板にさまざまな形の穴を空けて作った給餌箱やプラスチック製の給餌ボールを、屋内外の放飼場に設置しました。その結果、採食に費やす時間が増加し、舌遊び行動の発現頻度は大幅に減少しました。このように餌を食べる機会が増えることで、キリンやオカピの活動性が向上し、舌を本来の目的に準じて使うようになるようです。

*舌遊び:本来、草食動物は活動の大半を舌を動かして草や枝葉を食べ続けることに費やします。しかし、飼育下において、飼育環境が単調で採食時間が不十分な場合、彼らの舌を動かす機会は制限されがちです。その結果、採食に対する欲求は別の行動として現れ、舌を特定の目的なく一定に動かし続けたり、餌の代わりに採食対象でない柵や壁などを持続的に舐め続けるような「舌遊び」行動が発現します。

絶滅危惧種ズーゴネティクス・テキーラの性行動に対する照明の効果 P.6-7

絶滅危惧種の真胎生魚ズーゴネティクス・テキーラ (Crescent Goodeid Fish)は、近年南米で発見された種で、その生態は明らかになっていません。そこで、イギリスのボルトン水族館では地元大学との協力のもと、繁殖を成功させるための取り組みとして、照明が彼らの性行動に及ぼす影響を調べました。すると、照明を普段よりも明るく、その照度を熱帯のそれに近づけた場合に、オスもメスも共に性行動の頻度が増すという結果となりました。今後は、性行動の頻度が、実際に繁殖にうまくつながるかどうかを調べていく予定とのことです。

エンリッチメントに利用する植物の栽培:職員による食草菜園 P.8-9

アメリカ合衆国のウッドランド・パーク動物園では、飼育員と緑地管理の担当者が協力し、動物の餌として利用する野菜や花、ハーブなどを育てる菜園を造っています。このような取り組みにより、動物に対しても季節によって餌の種類や香りに変化をもたらすだけでなく、作業を介した職員同士の新たなつながりや交流が生まれ、職場の連携を円滑にすることも期待されているそうです。

第11回国際環境エンリッチメント会議のお知らせ P.10

エンリッチメント/トレーニング ビデオ・ライブラリーについて P.11

The Shape of Enrichmentでは、各園でおこなわれている環境エンリッチメントやトレーニングの実践に関するビデオの貸し出しをおこなっています。

 

(こやま)

 

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