訃報のお知らせ

The Shape of Enrichmentから先日アナウンスがありましたが、バレリー・ヘアさんが2022年10月30日にお亡くなりになりました。
この訃報に接し、SHAPE-Japan事務局一同、悲しみに包まれています。

バレリーさんは1991年にThe Shape of Enrichmentを設立し、国際環境エンリッチメント会議(ICEE: the International Conference on Environmental Enrichment)の開催やワークショップの講師としての活動などを通じて、環境エンリッチメントの世界中への普及にご尽力されました。

私がバレリーさんに初めてお会いしたのは、2009年にイギリスで開催されたICEEの会場でのことだったと記憶しています。
海外経験が浅く、とても緊張しながら口頭発表した私を優しく見守ってくださっていました。
日本というアジアの端の島国から来た若者が、環境エンリッチメントに関する研究を志していることを喜んでくださっていたのかな、と思います。

2009年イギリス開催のICEEでのバレリーさん

バレリーさんとThe Shape of Enrichmentは、世界各地でそれぞれの地域に根ざした環境エンリッチメントの実践を意識して活動していらっしゃいました。
その一環としてSHAPE-RegionalというThe Shape of Enrichmentの支部が世界各地に存在しており、我々SHAPE-Japanが日本支部という位置づけになっています。
このSHAPE-Japanの設立を、バレリーさんは力強く後押ししてくださりました。
SHAPE-Japanを設立する大きなきっかけとなったのが2011年にポートランドで開催されたICEEです。
この時、日本からは私も含めて10名ほどのメンバーが参加しており、これはそれまでのICEEで最大の人数でした。
これだけの数の環境エンリッチメントに関心のある人がいて、いくつかの発表もして、日本にも支部があってもまったくおかしくない、ぜひあなたたちが設立メンバーとなって活動して欲しい、懇親会の会場で我々にそう語ってくださいました。
そのお言葉に勇気づけられ、この時参加していたメンバーが中心となってSHAPE-Japanとしての活動を2013年からスタートすることができました。

今回の訃報を目にして、事務局メンバーでバレリーさんとのエピソードを話しました。皆が口を揃えて語っていたのが、バレリーさんの優しさと笑顔についてです。
メンバーそれぞれ、ICEEに参加して緊張しながら発表したとき、SHAPE-Japanの運営について相談したとき、おぼつかない英語でもいつも笑顔で受け入れてくださり、丁寧にコメントをいただけたことが思い出に残っています。

2013年南アフリカ開催のICEEでのバレリーさんと日本からの参加者
2015年北京開催のICEEでのバレリーさんと日本からの参加者
2017年コロンビア開催のICEEでのバレリーさんと本部事務局メンバー、日本からの参加者

最近のSHAPE-Japanとの関わりとしては、2019年に日本で開催したICEEがあります。
この時に体調面での不安をお話しになっていたのですが、日本まで来ていつもどおりの明るさとパワフルさを見せてくださいました。
京都市動物園で開催したワークショップではヤブイヌ班のメンバーとして、事務局員のファシリテートを優しくアシストしてくださいました。

2019年日本開催のICEEでのバレリーさんとワークショップ参加者
2019年日本開催のICEEでのバレリーさん

その後は世界的なコロナ禍となったこともあり、ICEEの開催が途絶えてしまっていたのですが、それでもまたいつかお目にかかることができる、SHAPE-Japanの活動と日本での環境エンリッチメントの普及をいつものように笑顔で喜んでくださる、そう心から信じていました。
しかし残念ながら、それが叶うことはもうありません。

バレリーさんが動物たちの福祉の向上や、それを目指す世界中の人々に与えた影響はたいへん大きなものがあります。
SHAPE-Japan事務局一同、バレリーさんのご冥福をお祈りするとともに、SHAPE-Japanの今後の活動を空の上から見守ってくださることを願っています。

SHAPE-Japan事務局一同を代表して
小倉匡俊

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