これは使える!可食性の紐「人工ケーシング」

 

餌を吊るすエンリッチメントは跳躍等の行動レパートリーを引き出し、フィジカルフィットネスを向上しうることから、効果的なエンリッチメントになると考えられます。

しかし、餌を吊るすための紐が動物に絡まり、肢や首を拘束したり、紐が千切れて誤飲したりすることを危惧し、敬遠されている担当者も少なくないのではないでしょうか?

そこで、コラーゲンで作られた紐状の素材、可食性の「人工ケーシング」を紹介します(「ケーシング」とは「ソーセージの皮」のことです。)。

「人工ケーシング」はエンリッチメントに使用するにあたって、優れた利点が多数あります。

例えば…

  • 消化でき無害: コラーゲンが消化できる動物であれば食用なので無害。
  • 適度な強度: Ø28 mmで約5 kg吊るせる。それ以上の負荷がかれば簡単に切れる適度な強度。
  • 消費期限なし: 未開封なら常温保存可。
  • 入手性が良い: ネットや精肉店経由で購入できる。
  • 安価: ¥50~/m (Ø17 mm)、¥100~/m (Ø28 mm)(100 m以上の業務用の場合)。
  • 扱いやすい: はさみで切って結ぶだけ。

などです。

 

大牟田市動物園では、ライオンの放飼場に以下の手順で取り付けています。

1. 「ケーシング」を鶏肉側に巻き結び等で固定し、反対側にもやい結び等で輪っかを作ります。

 

2. 使用量の節約と取り付けの簡易化のため、天井に枝を設置します。


3. 高枝切ばさみを用いて、輪っかを枝に引っ掛けます。

4. 設置完了。跳びかかるライオンのオス

 

大牟田市動物園では、ライオン以外の動物種(トラ、ジャガー、ホンドギツネ、ハクビシン)にも使用しており、さらに他種や他の使用用途にも応用可能だと思われます。

 

この「人工ケーシング」を使って、気兼ねなくエンリッチメントの幅を広げてみてはいかがでしょうか?

 

 

※草食動物に対しては「芋づる」や「カンピョウ」が使用できます。
また、セルロースで作られた「セルロースケーシング」も有効かもしれませんが、消化吸収することを想定して作られていないため、事前に人工消化試験法等で十分な検討を行い、安全性を確認する必要があると思われます。

※跳躍は運動量増加や本来の行動パターンの表出につながるため心身の健康のためによい効果が期待できますが、老齢個体やエンリッチメントに慣れていない個体の場合には、大きな跳躍を促すことは様子をみながらおこなう必要があるかもしれません。環境・個体に合わせて調整していただければと思います。

 

下記のURLから実施時の動画をご覧いただけます。

ライオン(オス)の実施動画

ライオン(メス)の実施動画

ホンドギツネの実施動画

 

 

(伴 和幸:大牟田市動物園)

大牟田市動物園のネコ科動物の飼育担当者。ハズバンダリートレーニングや環境エンリッチメントなどに精力的に取り組む。

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