ジャガーの環境エンリッチメント実践事例 ~実践型ワークショップのその後?

  • 採食エンリッチメント
  • 種名:ジャガー(Panthera onca
  • 場所:京都市動物園
  • 目的:採食に関わる行動の多様性を増やす

昨年SHAPE-Japanは、京都市動物園と共同で環境エンリッチメントの実践型ワークショップを実施しました。(ご参加いただいた動物園関係者の方々ありがとうございました。)
対象は大型のネコ科動物で、フィーダーや遊具を作成・設置し、評価に向けた行動観察を行いました。
(ワークショップの実施内容については,こちらこちらをご覧ください。)

その後、飼育現場で継続可能な範囲で作成していただいたグッズを活用させていただきました。物によっては、破損してしまったものもありましたが、継続的に利用をさせているもの、また細かいながらも当園で実施している工夫を紹介させていただきます。

今回は、上に示した通り「ジャガー」の様子を紹介させていただきます。

a.プラスチックドラムフィーダー
規格:  φ588×833mm

蓋は鎖で外れないように留め,約5cm開くようになっています。
底面に穴を開け,内部に入れた丸太と鎖をつなぎ、
約1mの長さで台と固定しています。(実践型ワークショップで作製していただいたもの)
中に肉を仕込んで与えます。仕留めた大きな獲物を引き上げる行動や
飼育下の特殊な採食行動も引き出すことができました。
プラスチックドラムフィーダーの使用動画
(なお動画に映っている個体は、動画の方法の通り中身を取り出すことが出来るようになりましたが、別の個体は取り出しに成功していません。)

b.タイヤ
一輪車用~軽自動車用のタイヤを用います。
中に肉を入れることで、探索行動や中に入れた肉を引きずり出す行動・咥えて持ち運ぶ遊び行動を引き出すことができました。
注意!!:ゴム製品(特に柔らかいゴム)を使用する際、個体によっては誤飲してしまう可能性があります。使用にあたっては、初回時などに必ず観察をしていただくようお願いします。
タイヤの使用動画

c.肉の青草巻き
草食動物用のイネ科牧草(ライグラス・ミレット)を使用しました。
ただ、青草の中に餌の肉を隠して、青草を結ぶだけです。
部位による違いや何も入れない「ハズレ」を作ることで,探索行動を引き出すことができます。
また、中から肉をとる出す際に,獲物の皮を「引きちぎる」行動を引き出すこともできました。
肉の青草巻き動画

d.ワラの敷き詰め
室内での往復歩行によるパッドの擦り切れ防止のために開始しました。
敷き詰めにより、往復歩行を完全に抑えることはできませんでしたが、パッドの状態は回復することができました。
また、探索行動や藁を引きちぎる遊び行動を引き出すことができました。
ワラの敷き詰め動画

e. 吊り丸太(ブイ)の遊具
底面から地面の高さが約180cmになるように鎖で吊り、
そこに餌を括り付けて与えます。飛び上がって餌を捕獲する行動を引き出すことができました。
吊り丸太動画

f.鶏肉の刺身
当園ではニワトリをまるごと1羽給餌しています(重さは入荷によって違いますが1kg~2kg)。
グラウンド及び室内に分散して与えるため、いくつかのパーツに分け、さらにささみ・胸肉・カワなどはeの丸太やブイ、窓などに貼り付けやすいよう、刺身のように切っています。
立体的な探餌行動を引き出すことができ(cの動画を参照)、またガラスに張り付いた餌を取る様子は来園者にもわかりやすく、好評だったと思われます。

細かい工夫が多いですが、これらを合わせることで行動の多様性に幅をつけることが出来ました。
(この内容は平成28年度 日本動物園水族館協会 近畿ブロック動物園飼育係研修会にて発表したものに加筆・修正を行っています。)

(京都市動物園 岡部光太)

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